2012/06/10

チェーンオイラーいろいろ

ビューエルで3年40000km、一度切れた以外は足回りのあの字も見ないバイク生活になれきってしまい、すでにチェーン給油がめんどくさくなっています。

セローはつっかえ棒で簡易センタースタンドが出来るのでまだ楽なんですが、NCにセンスタ付けるのもめんどくさいが、かといって自宅(エレベータ無し5階)から毎回メンテスタンドを下ろすのもくたびれます。

しかしチェーンオイルメンテの性能のよさや汚れの少なさはそのメンテサイクルを考えても魅力的なのは確か。

そこで、TDMに付けていたScottoilerを付けようと思ったのですが、NCはどうも負圧を取るホースの類が全く無く、インマニに穴を開けてネジを付けるみたいな話になるのでゲンナリしているので、電子式のオイラーをいろいろ見繕ってみました。

  1. Scottoiler E-System
    本家本元スコットオイラーの電子式。液晶モニタにGセンサなどハイテク機能が標準搭載されています。ただ何故か公式がずっと品切れしてますが、探せば即発送な通販サイトがあるのでそっちを当たりましょう。日本代理店は全く動いてないようです。

    メリットはオイルタンクなので自分で選択できる、Gセンサなどで油量の調整が精密(らしい)、取り付けが割とシンプルといったあたりでしょうか。値段はおおよそ25000円といったところ。
  2. ACUMEN chain oiler
    ギヤポジションインジケーターDG8でお馴染みのACUMENもchain oilerを出しています。油量調整メーターがあって調整できます。

    メリットは安さ(2万丁度程度)ですが、オイルがカンを装着するタイプなので、チェーンオイルの入手が非常に苦労しそうです。もっともこの手のオイラーはそんなすぐ減る物じゃないので、一緒に注文しておくといいかもしれません。
  3. CL200
    ドイツのメーカー。Speed Kitという装置を取り付けると車速に合わせた量に調整できたり、デジタルメーターをつけて200ユーロという値段や、大容量(500ml)タンクで40000km、SpeedKit装着でその倍というバイクの寿命より長い容量や、調整式ハンドルヒーターのメーターもつけることによってものものしくできます。値段はおおよそオイラーのEと同じくらいでしょうか。
  4. Morax Lubetronic Electronic Chain Oiler
    リレーでon/offするだけのシンプルなタイプ。80ポンドという安さが魅力か。
    ただし海外フォーラムでの評判は低めだが、内容は電子は信用できない、負圧のscottoilerのほうがいいというNCにはどうにもならない理由なのでまあ...ちなみに調整キットが別売りな模様。
  5.  PTLube
    Moraxのように安いタイプ。公式サイトの記述が丁寧。値段は例によって80ポンドほど。
  6. PRO Oiler
    車速検知マグネット付きだが値段はオイラーに準ずる。
ざっと日本で手に入るものはこれくらい。余裕があれば是非ScottoilerのEを付けたいところなんですが、CL200の大容量というのも捨てがたいところではあります。今すぐ安く付けたいと言う場合はPTLubeもよさそうです。

2012/06/03

NC700Xおおよそ乗りつくしたので雑感

だいたい全てのシチュエイション(街乗り、渋滞め通勤、高速、林道、ロンツー)を通過したので纏めます。
  1. 独特すぎる設計・コンセプトへの理解と慣れが最重要。
    レブが低いのはユリシーズも同じなんですが、ユリシーズは"レブが低い"だけで普通のバイクと変わりませんが、コイツは根本的に設計思想が違います。

    普通のバイクではまともな反応が期待できない2000rpm以下から実用で使用でき、かつ6500rpmまでどのギヤでもあっという間に吹けきらせるパワーを持っています。それだけ聞くならまあいいんでないのと思いますが、問題はギヤ。

    燃費運転の鉄則は、なるべく短い時間で巡航速度まで到達し、その上で出来る限りの低回転低アクセル開度なわけなんですが、NCはまさにそこに最適化されています。

    どういうことかというと、各ギヤが高く広くなっていて、守備範囲の広いギヤがが超絶クロスになっている感じです。

    ということは、発進して回転数とアクセル開度を上げることなくパワーが出ているので、そのパワーを切らさずにガンガントップギヤにあげていって、トップ低回転で巡航するということに特化しています。

    追い越しや合流などで速度が必要?各ギヤは高く広いのでアクセルを回せば回転数上がる前にガンガン速度が伸びます。速度あげる用事が済めばまた巡航燃費運転にギヤ変えることなく戻せます。

    この鉄則は今までどのバイクでも(スポーツバイクは勿論カブやセロー、HD/ビューエルですら)まずなかった設計なので、非常に調子が狂いました。

    そしてMTだと、構造上通常"エンジンが回ってないと"ギヤが入りづらいもんなんですが、走行中にそれが起きるくらい低回転で巡航できるので、そこも頭にいれとかないと割とビックリすることも多々。

    しかもものすごいエンジンのポンピングロスの無さ。ギヤ比もあいまって、普通のバイクのようにエンブレで止まろうとするとアイドリングまでギクシャクせずにスーッと進みます。止まりません。

    とまあ未だかつて無かった特殊な作りなんで、それを意識して乗り方を研究する必要があります。最もDCTなら研究なんぞ必要なく機械がやってくれ、シフトチェンジ速度も比じゃないのでこのエンジンを最も活かしてくれると思います。なぜこんな設計にしたのかというと、それは後述します。
  2. 化け物じみた燃費
    ほぼ下道の山道オンリーで200kmくらい進んだところで燃料系(およそ2.5Lで一つ減る)が2つしか減ってません。もっとも正確じゃない燃料系なのでしばらくして給油して34km/lでしたが...流れが悪かったりバイパスの流れに乗って走行してる区間があることを考えるとセローでもこれくらい出るかどうか...およそ下道の山道オンリーではこのへんが出てます。

    渋滞ぎみの通勤路でも30前後常にキープ、その上で峠でガンガン回して乗ってみても27が今のところの最低値です。山道国道ツーリングで35行かないくらいの燃費はもはや脅威。深夜の下道バイパスオンリーとかだとどんな燃費がでるのやら。上記のコンセプトはすべてこのためにあるのです。

    ポンピングロスが少ないので、常時微開で定常走行するより、グライディング(プリウスなどで行われる燃費運転で、減速時は勿論のこと、巡航でもなるべく短い時間で巡航速度より少し高い速度まで加速して、巡航速度までアクセルを閉じて滑空するような走法)のほうがよさそうではあるんですがまだ何とも言えません。DCTに乗ってホンダの回答を見てみたいところです。
  3. 安定した直安に怒濤の低重心と素晴らしいトラクション
    メットインを作るという主目的のためにLツインのフロントバンク並に寝かされたエンジンに、シート下に移動されたタンク、妙に低い位置にプロリンクで設営されたサスペンションなどにより、重心位置は125のスクーターくらいの位置、乗った感覚だとステップより上に重い物がある感覚は皆無。

    これが走行にどういう影響を及ぼすかというと、リーンアウトで車体だけ倒して曲がろうが、リーンインで車体を倒さずに曲がろうが、腰を落として曲がろうがバイク自身が恐ろしく安定しています。バイクのライダーを含めた部分がどうなってようが、バイク自身は常に一定の位置にあるような感じです。

    もっともそのせいで車体の切り返しが鈍く若干アンダー気味ではありますが、まあこの程度なら慣れといえましょう。ただBT023がどうもイマイチなんで、ANGEL当たりブチ込むと豹変する可能性はありますが、たぶんPR3にすると思います...

    安定しまくった車体の上に、燃費のために最適化されたエンジン特性が思わぬ効用を。
    エンジンが回って無くてもパワーと速度が出るので、トラクションがいつでもどこでも掛かっているので、BT023であろうとヘビーウェットで滑る気がしません。勿論低回転ハイギヤードなので、相当無茶しないかぎりホイルスピンすることもまああり得ません...

    オフロードも走行しましたが、ヤケにスタンディングしやすい上にエンジンを回さなくてもスピードが乗るので、オンタイヤにしてはものすごいグリップを発揮しています。低重心も相まって17インチフラットダートでは最も走りやすいかと。タイヤもon/offにすれば北海道程度のフラット林道ならオンよりタイヤのデュアルパーパス並に走ることは十分に可能。これはトランザルプが出そうな...
    生野周辺の林道

    ビューエルと比べるのはアレなんですが、安定志向に振った車体により高速道路の走行でも全く不安を覚えることはありませんでした。
  4. 便利すぎるメットイン
    スコーピオンのXL(Tourcrossよりガワがデカイ)やツアークロスバイザー無しLなどを楽々飲み込むサイズ。勿論メットいれてもいいんですが、どうせこの手のバイクは箱をつけるので、あえてメットを入れずに雨具とかの小物をいれるといいかもしれません。雨が降ったときにいちいち箱まで行かずに上着だけでも着ることができたり、シールド洗ったりできます。そしてバイザー付きメットはどっちみち入らないですしね...
  5. 課題の残る足回りだが、箱をつけると良くなる可能性も
    65万のバイクに何言ってんだって話なんですが、足回りはかなりイマイチ。全体的に堅すぎます。やや荒れたバイパスを走ろうものなら手首か腰がヘシ折れる感じです。低速だとヤワくなるのかというと全くそんなこともないので全体的に堅すぎる感じです。比べるのも失礼な話なんですが、ここはユリシーズのフルアジャ柔らかめカスタムには遠く及ばず。調整しようにもフックレンチでリアプリロードがいじれるのみ。めんどくさいから触る気すらしません。

    だが、コイツのコンセプトは本来フルパニア装着でのロングツーリング。荷物を積むと総合的にいい案配になるという可能性もまあ無くはない(ユリもトップケース込みのセッティングで出してるので箱外すと堅くなる)ので様子見です。リアプリロードもいじることもできますが、とりあえず荷物積んでから考えたいと思います。まあ安いからリアOHまで我慢してリプレイス調整機能付き付けてもいいっちゃあいいですが。
  6. 明るいヘッドライト
    最近はコンピューター解析が進むことによって、ヘッドライトのデザインと光軸を自由自在にデザインできるので、昔のH4みたいに痒いところに手が届かない光軸ではなくなって非常に明るいです。ローは割とハッキリカットされた幅広な形状で、ハイは正面に短刀みたいな尖った三角がついたうえで、左側が目線まで照らされているが対向車線は薄い光になってるような感じです。
  7. サイズの割にがんばってる風防だが、やはり高くするか調整機構が欲しい。
    あのサイズの割に、高速走行で伏せると驚くほど風をシャットします、が、やはり通常のポジションだと夏場はいいが冬場はつらそうなんで、もうちょいデカい風防が欲しくなりそうです。一応純正も高さ調整できるんですが、あんなもんメンドくさすぎです。ユリシーズみたいな完全スライド式が出ればいいんですが...ユリ用汎用可倒シールドを作っているPalmerproductでは今のところ未定です。残念。
  8. 燃料計は信頼してはいけない
    走ると増えます。止まった状態で確かめるとまあまあ正確な感じです。リザーブに入った時にトリップになったりもしない(というかこの精度じゃ絶対無理そう...)のでトリップを使った管理は必須ですが、別にまあそこまでシビアな給油感覚でもない(30km/lとして2L余裕残した12Lx30で360km。下道の平均巡航距離が30km/hとして12時間は走れます)のでまあ諦めが付きます。
  9. 静かな走行音は新しい時代を思わせる、が、マフラーの形状はなんとかならなかったのか...
    そこまで凝ったマフラーでもないんですが(むしろ純正もストレート構造)、回転数とエンジンの緻密さが相まって、高速走行を含め走行音がほぼ聞こえません。電動バイクといえどもモーターの音とかすると思うので、もし電動ツアラーが出たらこういう風になるのではないかと思わせる新しさです。

    しかし4000rpm以上をキープすると割と迫力ある音になるので全く牙がないかといわれるとまあそうでもないという感じです。

    賛否両論ではあるんですが、ナビ/ヘッドセットの音量を下げたりすることができたり、長距離での疲労低減や、社会的な悪影響を減らすことを考えると必ずしも悪いことではないなと思います。
    もっとも今のマフラー認証制度により、EU認証モデルならバッフルを固定させれば装着できますし、構造がシンプルかつ騒音規制に落ちようがない低回転エンジンなんでマフラーの開発も盛んなので煩いのがいいという人にも対応できます。

    ただ、サイドケースつけるのにあの跳ね上がりはないだろう...TDMは結構地面と並行な感じですし、Vやユリはアンダー、他はアップだったりして箱付けるのに邪魔にならないのですが...
    ヘプコや純正は分かってつくってそうですが、ヘプコベースにTouratechを付ける予定なので不安です。
  10. スポーツ走行のコツ
    何せ燃費と価格だけが注目されてますが、峠や山道を走るのは慣れれば面白いです。
    まずはギヤ比が広いので、燃費度外視で傾斜に合わせてギクシャクしないギヤ(3速とか)固定にしておけば、ギヤチェンジする必要が一切ありません。ブラインドで20km/hまで落とし、立ち上がりで制限速度まで(ということにしといてください...ちなみに高速合流でも3速あれば十分な速度までカバーされます)一瞬で到達します。車高の高さによる不安定感(他社と比べると重心低すぎてそうでもないですが)と低重心がゆえの切り返しの遅さはブレーキングを有効に使って積極的に車体を調整してやるとよいですね...
とまあ分かってはいましたがかなりクセのある車体なんですが、それも全ては低燃費とメットインかつ低重心と65万という値段のために設定されているので、そこを理解していれば乗りにくい珍車という感じはありませんでした。むしろ人間のほうが今までの"特殊な"バイクのエンジンに慣れているのでそこに違和感を感じる次第であります。まあDCTがやはりメインであることは否めませんねこりゃ。